内発的に動機づけられた人の特徴
「勉強好き」という気持ちは、「勉強ができる」「勉強が分かる」が絶対に必要です。
だから、「どうすれば成績が上がるか」という問題を解決すればよいのです。
次に「どうすれば成績が上がるか」という問題は、「どうやって勉強させるか」「どうやって勉強のやる気を出させるか」かがポイントになります。
「勉強好き」にさせる方法を考えると、「どうやってやる気を引き出すか」という問題に行き着きます。
やる気を心理学では動機づけと言います。
動機づけは大きく、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」に分けられます。
簡単に区別すると、
学習の内発的動機づけは、勉強すること自体が目的となっている学習です。
外発的動機づけは勉強以外の事が目的となっている学習のことです。
2つの動機づけのうち、どちらが好ましいかは言うまでもありません。
内発的に動機づけられた学習者は、自発的・積極的・長期的に勉強に取り組むので、必ず成績が上がります。
内発的動機づけは、まさに「やる気スイッチ」の正体です。
内発的に動機づけられた行動の特徴は以下のようなものです。
@知的好奇心
新たな問題を進んで発見します。
また、その解決のために色々な情報を収集します。
A挑戦
自信があるので、失敗を恐れずに行動できます。
B達成
人に頼らず、できるだけ自分の力でやり抜こうとします
内容同質性
内発的動機づけの定義はいくつかありますが、その中でも一番大切なことがあります。
内容同質性を持った行動です。
内容同質性というのは行動と目的の内容がどれだけ近いかを現す言葉です。
行動が目的達成の手段になっているか、行動すること自体が目的になっているかをより精密化した概念と言えます。
次の3人を見てみましょう。
A:お金のために勉強している人
B:成績のために勉強している人
C:勉強が好きで勉強している人
Aにとって、勉強はお金のための手段です。お金と勉強には内容同質性がまったくありません。このような学習は質・継続性共に低いです。
Bは良い成績を取るために勉強しているのだから、一見問題ないように見えます。
しかし、勉強は成績を取る手段です。勉強そのものが好きかと言われればノーになります。
そのため内容同質性は中程度で、今後の継続性が心配になります。
Cは勉強自体が目的となっているので、学習の質・継続性ともにMAXです。
才能などなくても間違いなく成績が伸びます。
あげてはいけない報酬
報酬の力によって、お子様の動機づけを内発的にすることも外発的にすることもできます。
間違った報酬をあげると、せっかくの内発的動機づけを外発的動機づけに変えてしまいます。
恐ろしいことに、このようなことが日常茶飯事で起こっています。
よくあるのは、親子のこんな例です。
「次のテストで〜番に入ったら、ゲームを買ってあげる」
「次のテストで〜点を取ったら、お小遣いを増やしてあげる」
私は塾の講師であり、家庭教師でもありますので、これまでに多くのご家庭の教育方針について聞いてきました。
このような「交換条件」を提示するお母さまは少なからずいました。
もちろん、お母さま方にとっても苦肉の策だったのだと思います。
毎日毎日「勉強しなさい」と言うのにつかれた・・・その気持ちは本当に分かります。
しかし、次の2点だけは絶対改善した方が良いです。
・交換条件を勉強の前に提示してしまう
・勉強と関係のない報酬をあげること
理由は、動機づけを外発的にするからです。
交換条件によって、勉強は何かを得るための手段として認識されます。
勉強に楽しさを見出している子さえ、あっという間に勉強の楽しさが減るほどの影響力があります。
だから報酬がなくなった途端、「なんで何ももらえないのに勉強しなくちゃいけないの?」と思ってしまうのです。
しかも、おもちゃやお金などといった物質的報酬は、同じレベルのものをあげ続けると、効果が薄くなるということもあります。
ですから、内発的動機づけができている子どもがいるご家庭では、このような交換条件はほとんど見られません。
その反対にいつまでも効果が薄くならない報酬をあげています。
褒めるを基本とした情報的報酬です。
勉強の中身と報酬の内容がピッタリ合致していることが最大のポイントです。
「どこが良くなくて、どこが良かったか」を教えてあげれば、子どもの勉強の目的をしっかりした方向に正すことができます。
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