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記憶のメカニズム

記憶のプロセス

記憶とは、普段は脳にとどめられていて、必要になった時に取り出せる情報のことをいいます。
勉強の内容はもちろん、人の名前、話している言葉などもすべて記憶です。
私たちは、これまでに数えきれないくらいに記憶という行為をしてきています。

 

それでは、どのようにして記憶をするのでしょうか。
次の3つのステップで行われます。

 

@記銘

情報を頭にインプットします。

 

A保持

記銘された情報を、頭の中にキープします。

 

B想起

必要な情報をアウトプットすることです。

 

 

一連の流れをテスト勉強で例えてみます。

 

教科書の内容を頭に詰め込みます。
これが@記銘です。

 

そしてその内容を覚えておきます。
これがA保持です。

 

その情報を、テストのときに思い出すのがB想起です。

 

注意することがあります。
多くの人は@とAは頑張りますが、なぜかBの練習はおろそかにしがちです。
当たり前ですが、想起ができて初めて記憶と言えます。
テストでは、解答用紙に答えを書けなければ意味がありません。
たくさんアウトプットの練習をしておきましょう。

記憶の種類

人間の記憶には、2種類あります。

 

短期記憶と長期記憶です。
これらは、一定の容量を持った記憶の箱のようなものだと考えてください。

 

短期記憶は小さい箱です。
すぐ限界に達し、後は上書き保存されていきます。
また覚えていられる時間がとても短いのが特徴です。

 

それに対して、長期記憶はとても大きな箱です。
大量の情報を整理してしまっておけるし、長時間覚えていることができます。

 

生活に必要なのは、当然長期記憶です。
テストで覚えていられるのも長期記憶、予定を覚えているのも長期記憶だからです。

 

しかし、どんな情報も最初は、短期記憶に入ります。
その後、選ばれた情報だけが長期記憶になります。

 

そこで問題になることは、どうやったら、情報を長期記憶に入れることができるのかです。
「長期記憶に入れ!」と念じても、残念ながら効果はありません。

 

長期記憶に入れるかを決めるのは、あなたではありません。
あなたの脳のある部分がこれを決めています。

 

 

 

どこで記憶しているのか

短期記憶と長期記憶の違いは色々ありましたが、そもそも保持されている場所が違います。

 

短期記憶は、脳の海馬という場所で保持されます。
海馬は、親指ほどの大きさで、タツノオトシゴにしている形をしていることからこのように呼ばれます。
見聞きした情報はすべて、この海馬へ送られるので、海馬は記憶の入り口とも呼ばれています。
海馬の容量はとても小さく、電話番号くらいの桁数の情報が限界です。

 

実際に、初めて見る電話番号を何も使わずに覚えることは簡単ではありません。
しかも、後から別の電話番号を覚えたら、前のはもう思い出せません。
また、放っておいたとしても、2時間も経てば綺麗さっぱりなくなっています。
これらはすべて短期記憶の限界を表します。

 

長期記憶は、側頭葉という場所で保持されます。
側頭葉の容量は非常に大きく、膨大な量の知識を保持することができます。
勉強の内容だけでなく、生きるために必要な知識はすべてここにあります。
例えば、箸の持ち方や自転車の乗り方。
このような自覚していない記憶も、側頭葉の中に保持されている長期記憶なのです。
これらのように強い長期記憶になると、長い間覚えておくことができます。
水泳の経験がある人なら分かると思いますが、10年ぶりに平泳ぎをやってみても、体が覚えているという感覚があるはずです。
側頭葉の中に、「平泳ぎの体の使い方」という長期記憶が10年間消えずに残っていた証拠です。

 

別のページでしっかり説明しますが、情報を短期記憶から長期記憶へ移すのは海馬です。
海馬で選ばれた情報が側頭葉へ送られるという仕組みになっています。

エビングハウスの忘却曲線

これまでに様々な心理学者が忘却の仕組みを明らかにしています。
その中でも有名なのが、自らを実験台にしてデータを取った心理学者エビングハウスです!

 

エビングハウスは、関連性のない単語を覚え、一定時間おいてから、その後もう一度覚えるときにどれだけ手間を節約できるかという実験をしました。

 

例えば、1回目に単語を覚えたときと、二度目にそれらを覚え直したときの手間が全く同じだったとします。
この場合時間をまったく節約できていないので、節約率0%=忘却率100%です。
復習の結果、前回より覚える手間が半分で済んだら、節約率=忘却率50%というように考えます。
このように、エビングハウスの意図としては、一度覚えた知識を覚え直す際の「節約率」をテーマにした実験でした。
しかし、一般に注目され広まったのは、時間の経過に伴う、凄まじいまでの忘却率の方でした。

 

表のように、忘却の仕組みが明らかにされています。

 

一度覚えたことは、何も復習されない場合、

 

20分後、42%忘れ、58%覚えている。
1時間後、56%忘れ、44%覚えている。
1日後、74%忘れ、26%覚えている。
1週間後、77%忘れ、23%覚えている。
1か月後、79%忘れ、21%覚えている。

 

たった1日で、なんと70%以上を忘れてしまうのです。
だから覚えたそばから忘れていくのは、まったくもって問題なし。脳が正常な証拠です。その上で、この忘却とどのように付き合うかが大切になります。

 

 

 

 

 


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